【ワイナリー紹介:ピカーディ】

本日はオーストラリア、西オーストラリア州にワイナリーがあるワイナリーについての紹介です。

ピカーディとは

1993 年に西オーストラリア州の内陸にあるペンバートン地域へ設立された、元ドクターのビル・パネルと奥様のサンドラ、そして息子のダンによって運営されているワイナリーです。

ビルとサンドラは当時未開拓地であったマーガレット・リヴァー地域の開拓者で、1969 年にモス・ウッドのブドウ園とワイナリーを設立しました。

その後モス・ウッドは、マーガレット・リヴァーをオーストラリアの重要な栽培地域の 1 つとして確立する原動力となりました。

しかし彼らはモス・ウッドをキース・マグフォードに譲り、1984年ブルゴーニュへ渡って、ヴォルネのドメーヌ・ド・ラ・プスドールの株主となり、ブルゴーニュの栽培醸造方法、クローンやオーク樽のことなど様々なことを学んだ後、オーストラリアへ戻ってきたのです。

そして、西オーストラリア州のマーガレット・リヴァーよりも冷涼な場所、ここペンバートンで土地を購入しワイナリーを設立しました。

このワイナリーで評価されているワインと言えばやはりピノ・ノワール(上のキュヴェは特に)です。

まだまだ世界的には知名度が高いとは言えませんが

オーストラリアのワイン評論家レイ・ジョーダンは「西オーストラリアで作られた最高のピノかもしれない」

ロバート・パーカー・ワイン・アドヴォケイトでは(2022年の評価)
「これがこんなに素敵だったなんて! 本当に強さを見せています。 ブラボー !」

など、高い評価を得ており、今後ますます注目されるワイナリーと言えると思います。

私自身も試飲してみて、ブルゴーニュ、ボーヌ1級クラスのワインを思わせるような、
チャーミングさや上品さだけでなく、温かみを感じるような柔らかさを備えた味わいで感激しました。

飲んですぐにその上質な味わいを感じ取っていただけると思います。

ピカーディのワインとは?

この地が選ばれるまで

ピカーディのブドウ畑は、南極海から 35 キロメートルと海から近く、標高 200 メートルの北向きの緩やかな斜面にあり、冷涼な気候で夏も涼しい風が吹きます。

※オーストラリアでは太陽は東から上がって北へ向かって西に沈むため北向き斜面は良く日が当たる向きとなります。

また、この土地は水はけのよいローム/砂利質の土壌であることから「ここは特別!」と、ビルとパネルが選んだ場所です。

西オーストラリア州は良質なカベルネ・ソーヴィニヨンができる場所としてその名が知られていますが、ビルは、この土地は高品質で冷涼な気候のワイン、特にピノ ノワールの生産に最適であり、また、彼らの目指すエレガントでシルキーなスタイルのピノ・ノワールのワインを造るのにも最高な場所だと感じたのです。

ビルとパネルがブルゴーニュで学んだこと

ビルとパネルがブルゴーニュのドメーヌに関わっていたころ彼らは
クローンと樽について特に学びを深め、そのことがピカーディのワインにも活かされています。

例えば、これまでの人脈を通じて、ブルゴーニュの多くのドメーヌからピノ・ノワールとシャルドネの数百に及ぶ穂木の中で、収穫量ではなく、品質が特に良質なクローンを年⽉をかけて輸入しました。

現在ピカーディの畑では、シャルドネは4種類(76、95、96、277)、ピノ・ノワールは全11種類(114、115、777、他コルトンから)のクローンが栽培されています。

シャルドネのクローンは4種類ともディジョン・クローン。

ピノ・ノワールの114、115、777のクローンはフェノール化合物の量や樹勢に差がありますがいずれも小粒タイプのクローンです。

これら各品種のクローンは、ブルゴーニュの友人たちのアドバイスに従い、ワインにより複雑さを与えるために、すべて混ぜて植えています。

これまでの観察から、ピノ・ノワールの 11 種類のクローンは、生育習性、房の大きさ、収穫量、風味、ワインの構造に関して、かなりのばらつきがあることがわかり、現在新しいピノ ノワールのクローンの輸入を進めています。

他にピカーディでは、ソーヴィニヨン ブラン、セミヨン、シラーズ、メルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンも、品質を重視して選ばれた特別な品種を植えています。

そしてブルゴーニュでのもう一つの学びとして、ピカーディでは、使用するオーク樽の材質と焦がし方にこだわりを持っています。

彼らは何度もブルゴーニュの樽メーカーへ⾜を運び、自分たちが理想とする小規模な樽メーカーから⾼品質の樽を厳選し、さらに自分たちのワインの風味に合わせ焦がし具合をなんと6段階に分けて細かく指定して調達しています(8割がブルゴーニュのトネルリー・メイリュー)

樽の焦がし方が熟成中のワインに与える影響は大きいですが、同社の樽はゆっくりと時間をかけて焦がし作られることで知られます。

「そのようなオーク樽であれば、例え新樽100%のミディアム・トーストの樽を使用した場合でも、ワインに樽を焦がした強いフレーヴァーを感じることはない」と、ビルは話します。

このように、ピカーディは、ピノ・ノワール の特徴を際立たせるために、介入の少ない技術と慎重なオーク樽熟成に重点を置き、細心の注意を払ったワイン製造プロセスに誇りを持ち、自分たちが理想とするワインの味わいを追求しています。

生産地域について

ピカーディは西オーストラリア州の南西部に位置するペンバートンにあります。にオーストラリア州で最も有名なワイン産地、マーガレット・リヴァーから南に150kmほど離れた場所にあり、

木材の町と言われるだけあり、国立公園やユーカリの木々に囲まれた町です。

世界で最も高い、かつて火の見張りに使われていたという木「グロスター・ツリー」が有名で、なんとその高さは61m!

そして名産は黒トリュフ。南半球で最もブラック・ウィンター・トリュフと呼ばれる黒トリュフの産出量が多い場所として知られています。

ペンバートンの辺りはトリュフ産地としても優れていて、雨が多くふっくらした土壌ながら水はけがよく、その条件はフランスで有名なトリュフ産地ペリゴールにも似ています。

そしてペリゴール産ブラック・フレンチ・トリュフに引けを取らないほど香り高い黒トリュフが育つことで、フランスのミシュラン星付きレストランだけでなくヨーロッパ、アメリカ、香港や日本などへも輸出されています。

ブドウ品種

ピカーディのワインで今回紹介するのは
「ピカーディ ピノ・ノワール」です。

味わいの特徴

スグリやラズベリーなど赤い果実の中にほんのりとブラックチェリーやオリーブの香りがあり心地よいロースト香も穏やかに感じられます。

チャーミングな果実のフレーバーと共にフレッシュで滑らかな酸、フルーツフレーバからの優しい甘味を感じます。

また、ほのかなスパイスの風味とシルキーで上品なタンニンが果実味に溶け込んでおり、引き締まったボディながらまろやかさも感じる味わいです。

余韻も長く、ぜひ大振りのグラスでゆったりと楽しんでいただきたい、優雅なワインです。

ペアリング

◆赤身肉の牛ステーキトリュフソースかけ

ペンバートンと言えば黒トリュフ!
赤身肉のボリューム感、トリュフの香りとピノ・ノワールの香りも同調しよく合います。

◆ミートパイ

オーストラリアの国民食というべきミートパイをアレンジ!

牛シチューとトマトソースの煮込みににブラウンマッシュルームを加えたものをパイに詰めて焼いたものでしたら、テクスチャー、酸味、マッシュルームの香りが、ピノ・ノワールの香りや味わいに同調してよく合うと思います。

おすすめポイント

ブルゴーニュ1級クラスのワインを思わせるような、非常にレベルの高いピノ・ノワールのワインです。

ピカーディが目指すエレガントでシルキーなスタイルの味わい、こだわりの強すぎない樽熟成のニュアンスが楽しめます。

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